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子どもがいじめに関わった場合、法律的視点からどう対処する?

子供といじめ

春からお子さんが小学生、中学生になる方も多いかと思います。子どもが成長するにつれて、親が知らない子どもたち同士の世界が広がっていくことは当然のことで、さみしさ半分うれしさ半分といったところでしょうか?

ただ、そんな子どもたち同士の付き合いのなかでどうしても気になるのが「いじめ問題」ですよね。それには「いじめられていないか?」だけでなく、「いじめる側になっていないか?」という視点も必要になってきます。

もし、自分の子どもが「いじめ問題」になんらかの形で関わっていたらあなたならどうしますか?今回はそんなときの対処法を、法律的な目線から導いていきたいと思います。

目次

いじめを規制する法律とは?

いじめに関しては、長年「直接規制する法律がない」として問題視されてきましたが、平成25年に「いじめ防止対策推進法」という法律が制定されました。これは、滋賀県大津市で起きたいじめ自殺事件をきっかけとして、「いじめを直接規制する必要がある」という声が高まったことをうけたことによるものです。

「いじめ防止対策推進法」では、いじめを、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であり、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」と定義しています。

要は児童生徒間で行われる嫌がらせや暴行等については、直接間接問わず、幅広くいじめに当たると考えられています。なお、この「学校」というのは、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)を指しています。

「いじめ防止対策推進法」は、いじめの防止や対策の推進を目的としており、国や行政、学校設置者、保護者へのいじめ防止等のため、責務を定めています。いじめをした生徒に対する懲戒や出席停止制度の運用等も定められていますが、いじめをした者への罰則を直接定めたわけではありません。

ただ、そもそも、いじめはその行為次第では、「傷害罪」「窃盗罪」「脅迫罪」等の犯罪行為に該当する可能性があり、その場合は刑法等の手続きに従って処罰を受ける可能性があります。この法律では、そのような犯罪行為に関しても、学校がしっかり警察と連携する手続きを定めておくよう求めています。このように、学校等の責務が明確になったことで、適切な調査・対応を求めたり、責任を追及しやすくなったといえるでしょう。

弁護士に相談することが出来る?

いじめは、犯罪行為に該当する可能性があるほか、民法709条に定める「不法行為」に該当し、慰謝料請求などの対象となる可能性があります。当然、法的な問題が多分に絡む事件ですので、弁護士にご相談いただくことが可能です。

ただ、いじめという行為の性質上、秘密裏に行われることが多く、「証拠は本人の証言だけ」というケースも少なくありません。そうなると、加害者側が「やっていません」と居直った場合に、いじめの事実を証明することが難しくなります。証拠は基本的にどんなものでも証拠になるので、日記やメモ、録音、メール等のやりとり、怪我をした場合は診断書など、いじめを裏付けるものであれば可能な限りたくさん残しておくことが好ましいでしょう。特に、録音やメールなど、「動かしがたい事実を表する証拠」は証拠としてかなり強いものとなります。

いじめのトラブルは、当事者同士では感情的になりやすい他、「法的にどのような責任が生じ、慰謝料等はいくらが適切なのか」についてもなかなか難しい問題ですので、弁護士にお任せいただければ、冷静な対応や、適切な慰謝料の支払いを期待できると言えるでしょう。また、いじめはなかなか人に言いにくく、ご家族だけで抱え込んでしまいやすいという性質があります。しかし、いじめに遭ったお子さんやご両親が、その胸の内を、「味方となってくれる人間」=弁護士に話せることだけでも、精神的な支えになることができると思われます。

加害者側に対しても、「いじめをした」ということについてし、「弁護士をつけて対応してきた」ということが、「それだけのことをしたのだ」とインパクトを与えることができ、それまで不誠実な対応に終始していたとしても、これを機に真剣になってくれることが期待できるといえるでしょう。

もしも子どもが加害者だった場合は?

「自分の子供がまさか」と思っている親御さんがほとんどですので、ご自身の子供がいじめの加害者になったと聞いても、なかなか信じることが難しいとは思います。まずは、お子さんに「真実を話すことの重要性」や「いじめが犯罪にもなりうること」をしっかり伝えていただき、お子さんの言葉でいじめの有無・事実を話していただくよう努めてください。

そのうえで、実際にいじめがあったということであれば、お子さんと一緒に、お相手方に、誠心誠意謝罪することが必要でしょう。幼いころのいじめの傷というのは、将来にわたってなかなか消えないものです。そのことを踏まえ、時には長期に渡り、繰り返し誠意をもって謝り続けることも必要になるかもしれません。

もちろん、盗んだものや壊したものなどがあれば弁償することは当然ですし、怪我をさせた場合は治療費等を支払うのも法的な義務となります。さらに、相応の精神的苦痛を与えているわけですから、裁判云々になる前に、お相手方に納得いただけるような慰謝料を支払えるよう努めた方がよいでしょう。慰謝料の支払ができるようであれば、そのうえで、トラブルが再燃しないよう、しっかりと示談書を交わすことが大切といえるでしょう。

まとめ

いじめに関しては、「いじめ防止対策推進法」という法律が制定されています。

いじめはその行為次第では、「傷害罪」「窃盗罪」「脅迫罪」等の犯罪行為に該当する可能性があります。

いじめの事実を証明することは難しいですが、証拠は基本的にどんなものでも証拠になります。

もしご自身の子どもが加害者だった場合、お相手方に納得いただける謝罪をしたうえで、トラブルが再燃しないよう、しっかりと示談書を交わすことが大切です。

いじめは、「隠される」ものですから、している側もされている側も、なかなか家族が受け身では気づくことができません。日頃の小さなサインが、いじめの兆候ですから、ご家族が日頃からお子様の変化に気づくよう、積極的に見守ってあげるようにしてくださいね。そして、いじめは「絶対に許されないもの」「犯罪にもなりうるもの」という意識を、皆さんが改めて、しっかり持っていただくことが大切だと思います。

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